こんな本はいかがですか

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2021/04/09

多摩大学社会的投資研究所 教授 堀内 務先生が『2030年すべてが「加速」する世界に備えよ』という書をご紹介しています

 

 

本書の著作者の一人で「シリコンバレーの父」ピーター・ディアマンディスは、民間宇宙開発を支援するXプライズ財団のCEOであると同時に、テクノロジー分野で多くのスタートアップを設立する起業家でもある。

また、グーグル、3Dシステムズ、NASAの後援を得て、シリコンバレーでシンギュラリティ大学を創設するなど、そのビジョンは、盟友のイーロン・マスク(スペースX、テスラCEO)を始め、ラリー・ペイジ(グーグル創業者)やビル・クリントン元大統領らからも絶大な支持を受けている、アメリカを代表するビジョナリーの一人でもある。

本書はこれから10年という2030年までにおいて、ビジネス、産業、ライフスタイルなどのあらゆる面で、私たちの想像を超えて加速する未来、かってないほどの勢いで空想が現実化する世界が到来するという。そこでは、地球上の主要産業が一つ残らず、全く新しいものに生まれ変わるというのである。キーワードは、「コンバージェンス(convergence)」という包括的なトレンドである。つまり、AI(人口知能)のような指数関数的に進化するテクノロジーが、AR(拡張現実)など別の最先端テクノロジーと融合することによって、進化の加速がさらなる加速を呼び、多くの産業に破壊的変化が起きるというのである。

ディアマンディスらは、マッキンゼーのリサーチなどを基に、こうした破壊的変化が、小売り、広告、エンターテインメント、教育、交通、医療、長寿、金融、不動産、環境といったあらゆる産業分野で起こりつつあることを詳細に描き出している。具体的に挙げられているのは、「自動運転と空飛ぶ車」・「ハイパーループ」・「アバターとロボット」・「アンドロイド教師」・「5Gや衛星によるネットワーク」・「宇宙やバーチャル世界への移住」・「生物の限界を超えるメタ知能」・「遺伝子治療による病気と老化の克服」・「タダの資源の出現」などである。

さらに著者はこうしたテクノロジーの出現によって、「ショッピングモールの消失」・「SNSマーケティングの終焉」・「自動車保険の消滅」・「不動産の立地優位性の消滅」・「大規模な雇用の創設」・「食料流通システムの全面見直し」・「環境問題の克服」といった、産業やビジネスの大変革を予想する。これからの10年間は、起業家、イノベーター、リーダーのみならず、機敏さと冒険心を持ち合わせたあらゆる人にとって、途方もない機会が待ち受けている『とんでもない時代』であり、それに対してわれわれは心して臨まなければならない。

こうした主張を『テクノユートピア主義』と批判する声もあるが、それでもなおわれわれは楽観主義者であるべきで、その楽観主義を現実のものとするために、常に学習し続けなければならないというのが、本書の結論である。《THE STRATEGIC MANAGER  2021.3》

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